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The Guide to "THE DOCUMENTARY D.L"

前段となる『The Documentary "DEV LARGE"』~BUDDHA BRAND編~」では、DEV LARGEのNY時代やBUDDHA BRANDの結成、その活動が日本のシーンに与えた影響、そしてNIPPSの脱退という状況の変化までが描かれた。そして後段となる「THE DOCUMENTARY D.L」は、ブッダとしてのアルバム「 病める無限のブッダの世界 ~BEST OF THE BEST(金字塔)~」のリリースから物語は始まる。
テキスト:高木"JET"晋一郎

 日本語ラップ/日本のヒップホップにフォーカスがあたり、「日本語ラップ・ブーム」とも言える状況を見せ始めた00年。音楽シーンに投下されたブッダの唯一のオリジナルにしてベストであるアルバム「病める無限のブッダの世界 ~BEST OF THE BEST(金字塔)~」は、二枚組の形でリリースされ、約半分がラップ楽曲、約半分がDEV LARGEの手によるインスト楽曲として構成され、彼の音楽的なモチベーションのあり方や、アーティストとしてのスタンスを如実に表すような構成が印象的な作品であった。

 そしてブッダの活動と並行して、97年にはレーベル「El Dorado Records」を設立。サンプラー・テープ「EL DORADO RECORDS SAMPLER」にはDEV LARGE本人に加えてSUIKEN、OSUMI、LUNCH TIME SPEAX(GOCCI、TAD'S A.C.、DJ DENKA)、そのメンツによるユニット:GOD INCの楽曲が収録され、その後、EL DORADOからは上記のメンツに加え、G.K.MARYAN、FLICK(GO、KASHI DA HANDSOME)、FUSION CORE(IQ、Mr.Paw)の作品がリリースされた。その諸作はアナログでのみリリースされ、ヒップホップ・カルチャーを牽引。00年には「フジロックフェスティバル」にBUDDHA BRAND&EL DORADO ALLSTERSで登場した(その日の同じステージにはRUN-DMCが登場)。

 またNIKEのCMソングとして制作されたDEV LARGE/TWIGY/ZEEBRAでの"PLAYER'S DELIGHT (GOING BACK TO MY ROOTS MIX)"への参加や、NIPPS"GALAXY PIMP 3000"などヒップホップ楽曲のプロデュース、DEV LARGE feat.椎名純平での"MUSIC MAKER"(「DEV LARGE PRESENTS MUSIC EVOLUTION α EP」収録)といった歌モノ楽曲、ミクスチャー・バンド:YZKとの"御用牙~牙のテーマ~ feat. NIPPS & DEV LARGE"の制作など、その活動は多岐に渡っていく。

 そして、その指向性はインスト/トラックメイカー方向に高まりを見せ、初のソロ・アルバムとなったDEV LARGE THE EYEINHITAE名義でのアルバム「KUROFUNE9000 [BLACK SPACESHIP]」は全面インスト作品として完成し、シーンに大きな驚きを与えた。

 その後、2005年からアーティスト名を「D.L」に変更し、アルバム「THE ALBUM (ADMONITIONS)」をリリース。ラッパー/トラックメイカー/リリシスト/プロデュース......正しく「D.Lのソロ・アルバム」として完成したこの作品は、全身表現者としてのD.Lを映し出した作品となっていた。

 またBOBO JAMES名義でのDJ活動に加え、ファンク楽曲を纏めた「GHETTO FUNK」シリーズのCD化や、ブッダやスチャダラパー、雷などに加え、餓鬼レンジャーやRIP SLYME、COOL SPOONなどスタンスや派閥を超え、D.Lの視点から見た日本語ラップの良作を纏めた「HARD TO THE CORE」などの日本語ラップ・コンピ・シリーズの制作、博多の秘宝としてD.Lが絶賛していたが埋もれてしまっていたTOJIN BATTLE ROYALの楽曲を「1997~1998 COLLECTION」としてコンパイルしリリースするバックアップを手がけるなど、アーカイヴァーとしての側面も形にしていく。

 2011年にはブッダの未公表作品なども加えた本人監修によるブッダ・ミックス「D.L presents : Official Bootleg Mix-CD "ILLDWELLERS" g.k.a ILLMATIC BUDDHA MC'S Mixed by MUTA」の制作や、DJ BOBO JAMESa.k.a DEV LARGEとしてインスト盤「OOPARTS(LOST 10 YEARS ブッダの遺産)」をリリース。ブッダとしての存在感も提示し続けた。

 彼は2015年5月4日、早朝に急逝した。死の直前にはジャズ・ファンクをコンパイルしたMIX CD、「FREEDOM JAZZ FUNK」のシリーズ、2作をリリースしており、その活動に更なる彩りを与えていた直後の悲報だった。

 日本語ラップ・シーンに大きな光を与えた彼の諸作は、決してこれからも色褪せることのない「金字塔」としてそびえ立ち続ける。そしていつになっても「オマエもこの気持良さにやられちまいな」と、心の琴線に触れ続けるだろう。彼が存在したという幸福を、改めて感じさせられるドキュメントだ。

D.Lドキュメンタリーの続編完成!スペシャにて独占オンエア!




INFORMATION
『THE DOCUMENTARY D.L』
初回放送:2016年12/20(火)25:00~26:00
リピート放送:2017年1月

1990年代後半伝説のグループBUDDHA BRANDのメンバーとして「人間発電所」「DON'T TEST DA MASTER」「大怪我」といった多くの日本語ラップの名曲を残すなど活躍したDev Large。 今回は、BUDDHA BRANDが活動停止してからのソロ活動、90年代後半に立ち上げたレーベル「EL DORADO」の運営やプロデューサー・ワーク、DJ活動、MIX CD制作など、Dev LargeがD.Lと改名し、新たな展開を見せていった以降にフォーカスをあてたドキュメントとなっている。

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