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History of MIGHTY CROWN & 横浜レゲエ祭

MIGHTY CROWN結成25周年 x 「横浜レゲエ祭」20周年ー。スペースシャワーTVではかつてよりこのイベント、そしてMIGHTY CROWNの活動を伝えてきた。今回は改めてその足跡を辿る。
テキスト: 八幡浩司(24x7 RECORDS., INC.)

 MIGHTY CROWNは1991年に横浜で結成された、現在に「ワールド・チャンピオン・サウンド」として世界のレゲエ・シーンで知られるサウンドだ。

MIGHTY CROWN_a MASTA SIMON / COJIE / NINJA / SAMI-T

 現在は結成の中心となったMASTA SIMON(MC)とSAMI-T(セレクター&MC)、COJIE(セレクター)、NYを拠点とするNINJA(セレクター&MC)の4人をサウンドのメンバーとしている。

 また、結成時からのメンバーであるSUPER CRISS(シンガー)、JUN4SHOT(DJ)、TRUTHFUL(DJ&シンガー)は、CHOZEN LEE(DJ&シンガー)とFIRE BALLを結成して、MIGHTY CROWN所属のアーティスト集団として活動している。

 「サウンド」。レゲエには独自の用語が数多く存在するが、コレもその一つ。「サウンド」はレゲエの前身のスカ、ロックステディの時代からジャマイカに存在している。人々が集い、踊り、戯れる場所で、レコードとマイクを駆使して人々を楽しませるエンターテイメント集団のコトを総称して「サウンド」と呼び始めた。

8456-2 MASTA SIMON(MC) / SAMI-T(セレクター)

 その中で、レコードをプレーする人を「セレクター」、マイクで煽る人を「MC」、また、その場で歌を歌う人を「シンガー」、トースティング(ラップ)をする人を「DJ(DeeJay)」と呼び、そうしたシンガーやDJがフリー・スタイルを披露する場面を「ラバダブ」などと呼ぶようになった。

soundsystem MIGHTY CROWN所有"THE NEXT LEVEL SOUND SYSTEM"

 ジャマイカには古くから各都市・各地域に無数のサウンドが存在している。それぞれのサウンドが独自のスピーカー&音響セット=サウンド・システムを保有し、その音質と威力、破壊力と爆音を競っている。また、それぞれのサウンドが保有するダブ・プレートで、そのオリジナリティを競っている。

 ダブ・プレートとは、存在しているオリジナル楽曲を歌うアーティストに各サウンドが直接交渉し、歌詞を変えたり、「リディム」と呼ばれるバック・トラックを差し替えたりして録音・制作される独自の楽曲のコトを言う。そのサウンドしかプレーできない特別な楽曲音源という意味で「スペシャル」とも呼ばれたりもする。その独自性とアイディアとセンスをもとにカスタムされたダブ・プレートの質と量、また制作のスピード感も各サウンドの人気と評価に結びついている。

dubplate MIGHTY CROWNのクリエイティビティが詰まったダブ・プレート

 サウンドはジャマイカのレゲエ・カルチャーで、レゲエの持つエンターテイメント性と可能性を独自に追求して発展してきた。MIGHTY CROWNはそのサウンドに魅せられた若者達によって結成された。

 1991年から現在までのMIGHTY CROWNの軌跡は既に各方面で伝えられている。その存在が日本中のレゲエ・ファンに知られるコトになったのは1998年の大阪で開催された『頂点』、そして世界中のレゲエ・ファンに知られるコトになったたのは1999年にNYで開催された『WORLD CLASH』、どちらのサウンド・クラッシュでも優勝したコトがきっかけだった。

WC99 / WC99_flyer WORLD CLASH 1999 @ NEW YORK

 サウンド同士が保有するダブ・プレートとMCを武器に、アイディアとスピリットでそのサウンドの名誉を賭けた大会/イヴェント=サウンド・クラッシュも古くから存在するレゲエ・カルチャーだ。そのサウンド・クラッシュでMIGHTY CROWNは00年代から現在まで、NY、ジャマイカ、ロンドン他世界各地で開催される主要大会で優勝を経験している。今秋にもレゲエ・スーパースターのDAMIAN MARLEYが主催する船上フェス「WELCOME TO JAM ROCK CRUISE」でのサウンド・クラッシュで昨年に続き二連覇を成し遂げている。現在は既に「日本の」ではなく「世界の」トップ・サウンドとしてレゲエ・シーンの頂点に君臨している。

jamrockcruise WELCOME TO JAMROCK REGGAE CRUISE 2016

 そうしたMIGHTY CROWNの世界的な活躍と実績が日本のレゲエ・シーンに与えた影響は大きい。90年代半ばまでのレゲエ・ブームが沈静化していた日本のレゲエ・シーンの待たれた存在としてシーンを牽引、活性化させ、ジャマイカのレゲエを日本に伝導するのに大きな役割を果たすコトになる。

 そうしたMIGHTY CROWNに影響を受けて日本で誕生したサウンドの数は膨大だ。また、日本だけではなく、海外においても、非ジャマイカ人のサウンドのMIGHTY CROWNの世界的な成功は大きなインパクトを与え、世界各地からMIGHTY CROWNのフォロワー的なサウンドが数多く登場している。ジャマイカのレゲエ・カルチャーの魅力を日本、そして世界へと伝導するコトにMIGHTY CROWNは果たしている功績は大きく、それも彼らがジャマイカでリスペクトを集める大きな理由だ。

 「横浜レゲエ祭」はそのMIGHTY CROWNによって1995年に開始された。ちょうど彼らが念願のサウンド・システムを完成させ、本格的にサウンドの体を成した年に始まった。当時にジャマイカ人のアーティスト達が数多く出演して開催されていた国内レゲエ・フェス「Japansplash」「Sunsplash」には、MIGHTY CROWNも、また当時に活動していた日本人のレゲエ・アーティスト達も出演できないコトを受けて、自分達で開始するコトにしたのがきっかけだった。仲間のサウンド、MIGHTY CROWNに所属しているアーティスト以外のアーティスト達も集めて開催したが、集まった観客は150人で、その大半が出演者の関係者だった。

2002 横浜レゲエ祭2002 @YOKOHAMA BAYHALL

 しかし、この「横浜レゲエ祭」は当時にジャマイカのレゲエに触れて、MIGHTY CROWNと同様にサウンドを、またアーティストを志していた人達、そしてそのファン達にとって大きな存在へと変貌していく。全国各地で活動している猛者達が一同に介する特別な「祭」へと成長していく。彼らそれぞれの活動や活躍が徐々に拡大していくのに合せて、多くの日本人アーティスト達のメジャー進出等の勢いにも合せて、動員数も規模も拡大していく。MIGHTY CROWNの存在と世界での活躍が広くに拡散され始めた00年代半ばからは、それまでのライヴ・ハウスやクラブでは収まり切らず、野外へと、遂には横浜スタジアムにまで進出していく。その発展と成功に合せて、全国各地でも同様なレゲエの「祭」が開催されていくコトにもなるのが、その発端は「横浜レゲエ祭」にある。

2006_横浜レゲエ祭 横浜レゲエ祭2006 @横浜スタジアム

 「横浜レゲエ祭」はMIGHTY CROWNと共に歩んできた。彼らが主催する数あるイヴェントの中で最も歴史が長い。未だ何者でもなかった時代から世界王者へとなった現在まで継続している。会場等の事情で開催を断念せざるを得ない年もあったが、毎夏に実施するコトを大切なミッションとしている。毎夏ごとに進化させるコトも目標としている。それがMIGHTY CROWNを進化させて原動力の一つにもなっている。

 現在の「横浜レゲエ祭」はサウンド・カルチャーの枠を超えている。ある時期からサウンドではなく、ライヴ・バンドをバックにしたアーティストのライヴ・パートがメインとなっているために、一般的な「フェス」と混同されるかもしれない。ただ、それがそうではないのはMIGHTY CROWNだからだ。

 「横浜レゲエ祭」は、主催・運営もそうだが、アーティストの選定、出演順、構成は全てMIGHTY CROWNによってプロデュースされている。MIGHTY CROWNによるサウンドとしてのプレー・タイムは複数回ある。選りすぐりのダブ・プレートを楽しませてくれる時間もある。だが、それ以外の各アーティストのライヴ・パートも、それじたいもMIGHTY CROWNによるサウンド・プレーであるかのような印象を与える。次々にレコードをプレーするかのようにアーティストは歌い、MIGHTY CROWNによって当日限定でカスタムされたアーティストのコラボレーションも披露される。出演順にも意味が存在し、最初から最後までつながったサウンド・プレーのごとく展開される。サウンドとして養われたMIGHTY CROWNの感性が発揮された、その特別なエンターテイメントに客は惹き付けられる。それを通じて「横浜レゲエ祭」がその魅力を「会場の一体感」と長く言われ続けている理由を知るコトになる。その「スペシャル」な時間がこの「横浜レゲエ祭」にしか存在しないコトを知るコトになる。

 8月11日。MIGHTY CROWNは「横浜レゲエ祭」をパシフィコ横浜で開催した。出演者の多くは、共に同じ時代を日本で活躍し、共にシーンを築き上げて来た仲間達だった。誰もがこれまでも「横浜レゲエ祭」に出演した経験を持ち、日本のレゲエ・シーンを代表する存在となった盟友達ばかりだった。

 これまでも数多くのジャマイカからのトップ・スターを招聘し、「横浜レゲエ祭」がジャマイカでTV放映される世界基準のフェスへと成長させてきたMIGHTY CROWNが、今年に招いたのはBEENIE MANだった。MIGHTY CROWN結成当時からスーパースターに君臨し続けるBEENIE MANも以前に「横浜レゲエ祭」に参加した経験を持つ。

BEENIEMAN BEENIE MAN @ 横浜レゲエ祭2016

 その顔ぶれは「MIGHTY CROWN結成25周年」と「横浜レゲエ祭20周年」を記念した「横浜レゲエ祭 2016」には相応しかった。

 サウンド・イヴェント、サウンド・クラッシュ、アーティスト・ライヴ、国内、国外・・、様々な場面でMIGHTY CROWNはその魅力とレゲエを伝え続けて来た。そのどれか一つだけでMIGHTY CROWNとレゲエの全ては語れないコトも伝えてきた。この日もこの日でしか見るコトができないMIGHTY CROWNならではのレゲエ・エンターテイメントを強烈に見せつけてくれた。

横浜レゲエ祭2016 横浜レゲエ祭2016 @パシフィコ横浜

 25年の国内外での活動で培われた経験も伝わった。枯れるコトのないレゲエの愛情も情熱も十分に伝わった。それ以上に、25周年も20回目も過程にしか過ぎないコト伝えてくれた。何よりもその強力にも前進し続けようとするエナジーと強欲にも挑戦し続けようとする姿勢を存分に伝えてくれた。それが結成から何も変わらない、失うコトのないMIGHTY CROWNの最大の強さで魅力であるコト、そしてそれがMIGHTY CROWNが信頼するレゲエ・ミュージックの本質であるコトも伝えてくれた。

 まだその余韻にいる。しかし、MIGHTY CROWNは先を行く。「横浜レゲエ祭 2017」の開催も発表されている。





INFORMATION
MIGHTY CROWN結成25周年の記念すべき年に、2年ぶり、そしてホーム横浜では5年ぶり、さらに通算20回目と記念尽くしで開催した「横浜レゲエ祭 2016 -二十周年-」を映像作品化。

DVD情報
Mighty Crown presents 横浜レゲエ祭 2016 -二十周年-
12月7日(水)発売
品番:TYBT-10042/3
価格:¥5,000(税抜)

History of MIGHTY CROWN & 横浜レゲエ祭