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Mndsgn × オオクボリュウ対談 : 『The Ghost Of Cartoon』から『Alluptoyou』、2人のコラボの軌跡

2/17~2/21まで東京・渋谷のINS Studioでオオクボリュウの展覧会"Alluptoyou"が開催されていた。このタイトルはオオクボがミュージックビデオの制作をおこなったMndsgn(マインドデザイン)の同名曲から取られている。そもそもオオクボとMndsgnの出会いは2015年、スペースシャワーTVのステーション IDをコラボで制作したことにさかのぼる。アートワークを担当したオオクボがファンだったMndsgnにオファーしたところ、快諾。ステーションID『The Ghost Of Cartoon』が完成した。そしてそれに続くコラボワークとなった"Alluptoyou"はエアブラシで描かれた絵を1枚ずつ壁に貼り付けて撮影、およそ3ヶ月にも渡る期間を経て制作された。今回の展覧会ではエアブラシで描かれた原画を展示し、販売もされていた。同時期にライブのために来日していたMndsgnとオオクボに、ミュージックビデオの制作経緯やお互いのアーティスト性などを語ってもらった。
取材・構成 : 和田哲郎/写真 : 横山純

──2人の出会いのきっかけになったSpace Shower TVのステーションID『The Ghost Of Cartoon』で、オオクボさんがMndsgnに音楽を頼もうと思ったのは?
オオクボ Space Shower TVから依頼されたんですけど、曲をぼくがチョイスしてもいいと言ってくれたので、本当に可能性の有無は関係なく好きなアーティストを何人かあげたんです。その中からMndsgnに頼みたいと思って、コンタクトしてもらって。1stアルバムの『Yawn Zen』をすごい聴いてたんです。
Mndsgn リュウが作ったミュージックビデオのリンクを幾つか送ってもらって、その中でもPSGの単色のビデオが気に入ったんだ。
オオクボ まさかOKしてくれるとは思わなかったから、すごい嬉しかった。
Mndsgn アニメーションがすごい好きだったから、すぐにOKしたよ。それまではアニメーションのためのプロジェクトはなかったから、そういうオファーをもらったのが嬉しかったよ。世代的に、子供のときに『ガンダム』とか『ドラゴンボール』を見て育ったから、アニメはすごい馴染みがあったね。


──オオクボさんがMndsgnの音楽に惹かれた理由はどういう点でしたか?
オオクボ ビートっぽい音楽は僕は好きだけど、彼のはいわゆるJ Dillaとかとはまた違うメロディーになっていて、僕にはしっくりきて。黒人っぽくないというか。
Mndsgn J DillaやMadlibにもまだ影響を受けてるし、90年代のヒップホップやそれにR&Bも聴いて育ってきてるから、そこが僕の音楽のメロディックなところに影響していると思う。

──新作の『Body Wash』はよりビート的なアプローチから、R&Bや80'sのディスコのスタイルを押し出していますよね。そのスタイルの転換についてはいかがですか?
Mndsgn 『Yawn Zen』をリリースしてから、DJをやる機会が増えてきて、そこで静かなビートをかけるだけだと退屈だったり、お客さんの様子を伺う感じになっちゃうから、元々好きだったディスコとかとマッチするように自分の音楽を作ったんだ。元々僕にはダンサーのバックグラウンドがあって、ブレイクダンスとかをしてたから、そのバックグラウンドを掲示したかったというのもあるね。ダンスをやっていたのはは若いときだけどね。
オオクボ ステーションIDを作ってるときから、新しいスタイルの曲をやってるというのをMndsgnから聞いてて。でも新しいスタイルが想像がつかなくて普通に楽しみだった、退屈なものにはならないんだろうなって。今SoundCloudで公開されてる1番新しい曲の"GOTEEM!"なんか、特にダンスっぽい曲で、あと昔に比べて自分で歌う曲が増えたよね。



Mndsgn 自分の歌というより、音として使っていて、他のシンガーに依頼してもいいんだけど、メールとかのやりとりがめんどくさいからそれだったら自分の声を使って、実験的にやったほうがいいね。


──"Alluptoyou"のビデオの話に移りたいんですが、そもそもビデオを作るきっかけになったのがオオクボさんの個展にMndsgnが来たことなんですよね。
オオクボ そうそう。去年の来日のタイミングで遊びにきてくれて、アルバムが9月に出るからビデオを作ってねって言われて。

──収録曲の中で"Alluptoyou"をピックしたのは?
Mndsgn 『The Ghost Of Cartoon』のときのイメージが"Alluptoyou"にもつながっているような気がして。同じフィーリングがあると思ったんだよね。
オオクボ 僕はBPMが遅いほうが作りやすいから、ベストチョイスだと思う。
Mndsgn パーフェクトだったよ。
オオクボ (ビデオの内容は)曲からというよりは、Mndsgn全体のカラーとかイメージからインスピレーションを受けてて。パープルなんですよね。(取材当日Mndsgnはパープルのアウターを着用)
Mndsgn そうだね、僕もそう思うよ。
オオクボ あとぼやけた感じも彼にマッチするかなって。


──作業的にはとても大変ですよね。
オオクボ 初めての作業だったから、失敗したらこの方法は辞めようと思っていました。別の方法を考えようって。でも動かしてみたらいい感じだったから。
Mndsgn 初めての手法だと聞いて、クレイジーだなって思ったよ(笑)
オオクボ 制作途中は全然見せてなくて、完成してからいきなり見せたんだよね。
Mndsgn 出来上がったビデオを見て感動して、すぐに周りの友達に見せて回ったんだよ。僕もこれまでは歌はやっていなかったし、ビデオも実験的な試みがされてるし、そういうイマジネーションの部分でリンクしてるかなって思うね。

──ビデオにイエローサブマリンが出てきますよね。オオクボさんはビートルズが好きだと聞いたんですが。
オオクボ そうそう、ビートルズはめちゃめちゃ好き。Mndsgnはビートルズ聴いてた?
Mndsgn 高校のときの先生がビートルズが好きで教えてもらったんだよね。
オオクボ サイケデリックなイメージとかは近いものを感じるよね。

──サイケデリックだけど、かわいい感じになってるのがMndsgnのイメージを反映してるかなと。
オオクボ でもそういうのが一番恐くない?近寄りやすいけど、ディープさを感じるというか裏があるというか。LSDペーパーって7人の小人とかが描いてあるやつがあるんだよね。かわいいんだけど目だけ白目になってたり。
Mndsgn Stones ThrowのSilk Rhodesのアルバムのジャケットがそういう感じだよね。


オオクボ こういうイメージとも近いんじゃないかな。
Mndsgn (ビデオに登場するキャラクターの1体を指して)このキャラクターはなに?オリジナル?クールだよね。


オオクボ このキャラクターはクッキーモンスターにインスパイアされたもので、Youtubeにアップされていたセサミ・ストリートのテーマパークの動画で、子供がクッキーモンスターにハグされてるシーンからトレースしたんだよね。
Mndsgn このキャラクターがビデオの中でも一番好きだよ。あとは作業で使ってるキャンバスが映ってるのもいいね。
オオクボ 演奏シーンはどう?
Mndsgn そこも最高だよ、めちゃいいよね。
オオクボ 事前に演奏シーンをいくつか送ってもらって。それをプリントアウトしてトレースして。Mndsgnの写真をたくさんプリントアウトした(笑)描いてるときはハイになってるから、あんまり大変だなってことは思わない。アドレナリンが出てるっていうか。気づいたらいっぱい描けたなってくらいで。制作には全部で3ヶ月くらいかかったかな。



──お互いをどういうアーティストとして見てるか教えてください。
Mndsgn リュウのスタイルは若い人から年配の人まで幅広い層にアピールできるスタイルっていうのを感じる。僕も自分の音楽をそういう風にしたいから、リュウのそういう部分はとても魅力的だし影響されているよ。あとは作品が作り込まれ過ぎていなくて、ナチュラルで生っぽいところも好きな部分だね。僕は音楽もそういう音楽が好きだからね。
オオクボ 同じようなイメージはMndsgnにも感じるね。日曜日のライブもラフだけどとても繊細だったし。どっしり構えてるというよりはいい感じにラフで。
Mndsgn ライブはガチガチに構成を決めるんじゃなくて、その時々にアレンジしたり、特にバンドだとその場の雰囲気で合わせて変えてプレイできるよ。

──今回バンドセットは日本で初めてでしたよね。ソロでのプレイとバンドでのライブとでお客さんの反応は違いましたか?
Mndsgn ソロとバンドで特別反応の違いはなかったんだけど、2つの会場の雰囲気が違ったからそっちの影響のほうが大きかったかな。

──今後2人でコラボをするとしたらどういうことがしたいですか?
Mndsgn ビデオもやりたいし、リュウとのコラボはどんな形でも続けていきたいね。ジャケットとかのアートワークでもありだよね。中々こんなに相性がいいアーティストはいないって感じてるから。
オオクボ 僕はMndsgnのファンだから。ミュージックビデオとかアーティストのことが好きじゃないとできないから、彼のお願いならいつでも。





オオクボリュウ | Ryu Okubo PROFILE
イラストレーションとアニメーションを主な表現とし、ミュージックビデオ、雑誌や広告、アパレル、内装などを手がける。シンプルな線画をはじめ、エアブラシや水彩、デジタル等、その時々のテーマや興味によって表現方法が変遷する。
個展「Like A Broken iPhone | アイフォン割れた」(2016年、CALM & PUNK GALLERY) 、宮澤謙一 (magma) との二人展「GRANDMOTHER」(2016年、TOKYO CULTUART by BEAMS)などで作品を発表。同年に初作品集を出版。
https://ryuokubo.jp/

MNDSGN PROFILE
自身でキーボード、 ビートメイキング、歌もこなすLAシーン屈指の次世代ビートメーカー/プロデューサー: マインドデザイン。 ニュージャージーで生まれ育ったマインドデザインは、ゴスペルミュージックやB-Boyカルチャー、90s R&Bから多大な影響を受け、10代からビートメイキングを始める。同世代のレーベルメイトでもあるノレッジと出会い交流を深め、共にLAへ拠点を移す。LAビートシーンの登竜門でもあるLow End Theoryで定期的にゲスト出演しシーンから認知度を高め、2014年には1stフルアルバム『Yawn Zen』をStones Throwからリリース。ヒップホップ/ビート/エレクトロニカなど多方面から高い評価を得ることに成功し、デトロイトのラッパー: ダニー・ブラウンへの楽曲提供や、日本でもSpace Shower TVのCMに楽曲が抜擢された。2016年にはStones Throw から待望の2ndアルバム『Body Wash』をリリース。ヒップホップをベースに80sブギー/ディスコ/ファンク + 90s R&Bなどの音楽から吸収された現代のダンス/ビート・サウンドを作り上げ、US人気音楽誌Pitchforkでも2016年のベスト・エレクトロニック・アルバムの一枚にも選ばれた。2017年2月には"Body Wash"のアルバムリリース来日ツアーが敢行され、東京ではソロライブのクラブ公演と、日本では初となるバンドセットの公演も行い大きな反響を呼んだ。
http://www.stonesthrow.com/mndsgn

Mndsgn × オオクボリュウ対談 : 『The Ghost Of Cartoon』から『Alluptoyou』、2人のコラボの軌跡