選考理由、各アルバムの感想エピソードを教えて下さい。
元から最新の音楽をあまり聴かないのですが、今年は輪をかけて聴かなかったようです。なのでリイシューや、今年出会って衝撃を受けたアルバムを挙げさせていただきます。
01
Paul McCartney "Chaos And Creation In The Backyard" (2005)
今年はとにかくこのアルバム。本当によく聴きました。90年代以降のポールを恥ずかしながらまったく聴いていなかったのでソングライティングの面、プレイヤーとしての面での瑞々しさに驚きました。特にドラムのタイム感!何の気なしに部屋で再生したら終わるまでプレイヤーの前から立ったまま動けなくなりました。"This Never Happened Before”が好きです。
02
サニーデイ・サービス "愛と笑いの夜" (2015)
うれしいアナログ・リイシュー。今年はシンバルズもナンバーガールも!来年はPerfumeまで!?もうバンバンやっちゃうべきだと思います。「海岸行き」をレコードで聴ける日が来るとは。リアルタイムで聴いていた訳ではなく、世代的に後追いなのですがこのアルバムをよく聴いていた10代の頃を思い出しながら、27歳の僕はどうだ、と。
03
大野方栄 "MASAE A LA MODE" (2014)
好事家の間ではムーンライダーズ、キミドリのコーラスで知られ、数々のCMソングを歌ってきた大野方栄さんのファースト・アルバムが2014年末にめでたく初CD化。リリース自体は1983年。カシオペアが脇を固め、隙のない演奏に大野さんの正確かつ奔放なヴォーカルが飛び回る好盤。初CD化にとにかく大きな拍手を!!!
04
yes, mama ok? "GREATEST HITS" (2015)
僕が14歳の頃から多大な影響を受け続けているyes, mama ok?のベスト盤の選曲をしました。手前味噌ですが彼らの持ち味である"混沌としながらもとにかく曲がいい"という部分がしっかりと見える編集盤になったと思っています。ポップ狂は全員聴いてください。
05
Chet Baker "Chet Baker Sings Again" (1985)
18歳の夏、恋人も居ない僕は悶々としたまま友人たちと運転免許合宿のため山形県に居たのでした。うだるような暑さの中、休憩所で大学で借りたチェット・ベイカーの伝記を読んでは閉じ、読んでは閉じていたら夏はあっという間に過ぎ、返却期限もすぐに来て、僕の手元にはピカピカの運転免許証だけが残りました。内容のヘヴィさに途中で返却しても続きを借りる気になれず時間が経ちましたがあるとき急に読みたくなり18歳の夏ぶりにチェット・ベイカーの伝記を読み返しました。あまりに悲しいほどに傲慢なその一生を改めて知るとそれまでとはまるで違うレコードのように鳴り出しました。晩年のレコーディングにそれは顕著で、歌声にまで皺が寄っているようです。
2015年のあなたの音楽的な衝撃・事件・忘れられないライブ etc を教えて下さい。
衝撃はやはりサブスクリプションサービスでしょうか。一度何かを否定されたような気持ちにもなりましたし「ものを所有することの意味」とか考えたりもしましたが今のところまだよくわかりません。「iPhoneのスピーカーで雑に聴くのも音楽の楽しみ方のひとつじゃないか!」という自分と「お前はいつからそんな腑抜けになったんだ!」という自分が未だに戦っています。
個人的な事件としては4月に喉を壊したことです。急性扁桃炎という病気にかかりライヴを数本キャンセルしてしまったことで歯車が狂った感じがありました。
忘れられないライヴ、自分が出演した側としては今年、東京/沖縄/名古屋とやったミツメ、スカート、トリプルファイヤーのスリーマンでしょうか。
それぞれがとても印象深いですが名古屋でのトリプルファイヤーのキレ具合がすごかったです。
観に行った側としてはアントニオ・ロウレイロとモッキーの来日公演でしょうか。アントニオ・ロウレイロは何も言えない、言葉にしたくないぐらい素晴らしかったです。モッキーはその逆で浮かれて「最高!」とか何度も口に出した覚えがあります。